「ゆずる」という言葉があります。
一般的に「ゆずる」(YUZURU)というと、立場やものを相手に移して行く行為になります。
「YUZURU」という音は、ローマ字で書くと分かりやすいのですが「U」という母音を中心にしています。
「U」はエネルギーを溜め込む働きがあります。そのため形の上では、相手に「ゆずる」ように見えますが、内面では「本当はゆずりたくない」という作用が起きてしまいます。
その意味では、「あげる」「あたえる」
「やる」といった言葉の方が、気持ちを残さない状況になります。
似た世界で勘違いされるのが「残心」という言葉が武芸や武術の世界にあります。何らかの修行をされた方なら分かっていただけると思いますが、「残心」とは心を残すのではなく、心を残さず打つという事です。表現を変えると「無心」に近いと思います。
そこに至るには謙虚さが必要になります。謙虚な方の出す技はそれは恐ろしいものがあります。
先日のボクシングの井上尚弥選手の最後のパンチなどはまさに「無心」で打っていました。ですから短い動作に見えて大変なエネルギーを秘めていました。
最初に書いた「あげる」「あたえる」「やる」などは「無心」に近いと思います。
小さい子供同士で、ものをあげる時に微笑ましさを感じるのは「あげる」「やる」の「あ」(A)音のおおらかさゆえです。
日本語の訓読みは、捉え方でいろんな世界を教えてくれます。
「ゆずる」と聞いて、スケートの羽生結弦さんを連想した方もいるかもしれません。彼の頑固さは「ゆずる」のUの3つ並びに起因します。それを、より高い技を目指す良い方向に使っています。
ご結婚は残念でしたが‥
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