日本語の音の秘密(志矢木太陀介)

名付けに役立つ話と日本語の音の秘密を書いていきます。表題の太陽系の図はfreepikより。

名付けの傾向

名付けの傾向

明治安田生命が1912年(大正元年)以降の赤ちゃんの名前ランキングを発表しています。

大きな流れで言うと

①大正時代始めは割とア行で始まる名前が多かった。まさお、ただし、まさはる、さぶろう、など。

第一次世界大戦第二次世界大戦の時期になるとイ行、ウ行で始まる名前が主流になった。いさお、すすむ、ひろし、みのる、きよし、など。

終戦後ア行で始まる名前が復活してきた。

まこと、たかし、あきら、かずお、など。

④経済成長期にはア行、エ行で始まる名前が増えてきた。まこと、なおき、だいすけ、たつや、けんいち、てつや、けんた、

⑤平成の時代、名前の最後にア行の名前が増えてきた。けんた、しょうた、たくや、つばさ、りょうた、など。

⑥現在、暗いイメージの名前が増えてきた。

そう、れん、ゆうま、ひろと、はると、りつ、など。

 

①から③の時代は、多くの国民が出征した時代、ア行のような開いた明るい音よりも、イ行の集中やウ行の辛抱強さが好まれたと思います。

④以降の、経済が成長していくと、時代にも余裕ができて、いろんな知恵が必要となる。必然的にエ行の知恵の質のある音を使うようになる。

 

⑤の平成の時代に名前の最後にア行が増えた。名前の始めにア行があるわけではないのはなぜか?

⑥の現在、キラキラネームと呼ばれる名前が多いですが、暗い音、動きの激しい音が多く使われています。

それは、今の不安な社会状況を反映していると思います。キラキラネームであるなら星の輝きのような名前であるはずですが、今のキラキラネームは全くキラキラしていません。別の呼び名が必要かもしれません。

 

今の日本は、もともと日本人が持っていた多くの良識が失われて来ています。その責任はバブル期に社会人であった大人達の調子に乗った生き方にあると思います。そのツケが今の子供を産む世代に回ってきている。

今は、まずは、周りを用心して、自分中心の世界を生きて、最後に安心できたら自分の本来の気持ちを表していこうというイメージの名前が多くなっています。

親が時代に対して希望を感じていないのだなあと思います。

今の時代は、昭和の時代だとありえない事件の連続で、ネットの普及のせいでしょうか、事件の件数も相当多くなっている気がします。(私などは昭和の人間と子供世代からは冷たく言われますが)

赤ちゃんの名前を見ても、とても悲しい時代を迎えてると感じます。

名前が全てを解決するわけではありませんが、自然の中に溶け込めるようなおおらかな名前をつけられる時代に日本がなってほしい。

 

以前、「ゆとり教育」という言葉がありましたが、

「ゆとり」という音は心の葛藤や暗さを呼び起こす音です。「ゆとり」という音を旗頭(はたがしら)にしても明るいものは生まれません。

そもそも、学校の現場を知らない大人達(文部科学省を中心に)作る政策が現場に響くはずはありません。

こんな時代に、次の世代のために自分は何ができるのかと言う思いや反省も、このブログを始めた一因です。