日本語の音の秘密(志矢木太陀介)

名付けに役立つ話と日本語の音の秘密を書いていきます。表題の太陽系の図はfreepikより。

心(KOKORO)と足(ASI)

心(KOKORO)と足(ASI)

 

前回の記事で、足の裏で温泉や地下水を感知する話をしました。

機械も何もない時代に、水にありつく事は安心できる生活のためには死活問題だったと思います。その場所を探すためにも人間はセンサーともいうべき感覚が冴えていただと思います。

さて、日本語の中で身体にあてがわれた音は色々と興味深いものがあります。

足(ASI)の話が出ましたので、今回はこれに関係した話をします。

足(あし)という音は、感覚の良い方ならお気づきでしょうが、音の流れの良い、身体の中でももっとも純粋な部類に入る音です。愛(あい、AI)のAとIの母音の間にSという音が入ってきます。

Sの質は感覚や感性を表します。その質を愛(AI)が守ってくれています。別の言い方をすると愛の中の感性です。

なぜ、そのような美しい音を足につけたのか。

皆さん、何となく「足が向く」「足が向かない」という時がありませんか。頭で計算するのではなく、身体が反応しないという経験。

私は35年ほど不動産関係の仕事をしていましたが、思い出すのは、ある企業から事業を進めるのに隣地がどうしても欲しい。任せて下さいという不動産会社に何社も頼んだが、とにかく土地を売る気持ちがなく、何より不動産屋が嫌いという地主さんで事業を諦めかかっている。最後の頼みで私に声がかかりました。

その方の評判は耳にした事があったので、なかなか足が向きませんでした。年末の依頼でしたが、年が明けてしかも1月3日という仕事で訪問するには非常識な時でしたが、足が向いてしまい、地主さんの家に向かいました。たまたま庭の植木を触られていて、目が合って会釈すると「何の用だ」と強い口調で言われました。私は正月の三が日に訪ねて来た無礼を詫びて、訪ねた理由を伝えました。

すると、家に入れと言われて、お正月のお節料理を出されました。地主曰く、「あの土地は決して売るつもりは無かった。しかし、昨日、初夢で土地を売る夢を見た。そしたらあんたが訪ねて来た。」

足って不思議だなと思った経験でした。その後も、絶妙なタイミングで足が向き、詐欺に遭って破綻直前の会社の娘さんと出会い、会社の財産を守り、ご病気の母親の手術費用を出せた事がありました。

おそらく、損得を頭で考えたら不可能な出来事でした。

私たちの先祖(特に狩猟時代)は毎日、どちらの方向に動くかは命懸けだったと思います。家族を養うため、敵から身を守るため。そのためにもっとも大事にしたのが足(あし)であり、大事だからこそ(あし)という美しく、優しい音を使ったと想像できます。祖先の知恵は素晴らしいです。

余談ですが足(あし)は愛(AI)の中にSを置きましたが、愛(AI)の中に物を表すKを置くと、秋(AKI)になります。愛の中で物が生まれる季節となります。

「足を洗う」という言葉があります。一つの世界を離れ、次の世界に行く。その時に「足」を洗います。

「手を洗う」ではありません。(なぜ手(TE)と呼ぶかは別の機会に書きます)。

毎日、忙しい時の中で生活されている方がほとんどだと思いますが、お休みの日には是非、足(あし)に聞いて下さい。携帯での情報は頭に入れても、判断は足に任せると面白い所に、必要とする所に連れて行ってくれるかもしれません。

そのために感性を取り戻す時間が必要です。ヨガでも、瞑想でも、落語を聞いて笑う、悲しい映画で泣くなど。(泣く、笑うは若返りのためにとても大事です。その日本語の解説も別の機会に)

もう一つ、心(KOKORO)という言葉があります。

音の通りに捉えると、「何かを求めて、奥の奥の奥で激しく動くもの」の働きをするのが心(KOKORO)という音です。激しく動き疲れて静の次元に入った時に悟りがあるのかもしれませんが、私は俗人なのでそこまで行けません。

いつも一緒にいてくれる足に聞くようにしています。

人間にとって、いい相棒です。