日本語の音の危機1回目(M音を中心に)
古来より太陽系や自然の法則に基づいて出来上がってきた日本語ですが、3度の大きな危機に出会いました。
1回目は、日本に仏教と共に漢字が伝来して、元々の訓読みの世界に、音読みの世界が入って来た時です。
例えば、山「やま」川「かわ」という呼び名に対して、山「やま」を「さん、ざん」川「かわ」を「せん」と呼んだり、文字は同じでありながら、本質である音がかなり変化して太陽系の法則とかけ離れて来ました。人々の心は大いに混乱したはずです。言葉(音)の黒船来襲です。有機農業にいきなり化学肥料が入って来たようなもので自然界と共にあった言葉は大いに乱れました。
この混乱と共に血で血を洗う権力闘争の時代も起こって来たと思います。
近い時代の話をすると、この混乱の影響が一番分かりやすいのが女性の名前に『美』という文字が多く使われ始めた時代でした。明治から大正にかけては『美』という文字はトップテンの1割にも満たないものでした。
特に戦後の女性の名前に「美」という文字が増えて来ました。明治安田生命の名前ランキングだと昭和37年(現在61歳)から昭和50年(現在48歳)まではおおよそベストテンの5〜6割と驚異的(脅威的)でした。
前稿で日本人の主食、こめ、まめ、いも、ムギ、ミソや食べ物を与えてくれる海(うみ)山(やま)にはほとんどM音を使っていると書きました。M音は万物を与えてくれる全知全能のエネルギーです。
自然の中の大いなるエネルギーとして、日本語は捉えていました。
ただこのM音を名前に使用するとどうなるか。
自分の考えが絶対だという感覚や、自分中心の、時にはわがままな気持ちが生まれます。特に、昭和37年〜50年は日本の経済が伸びに伸びていた時期です。このM音が大人になり子供を生みます。
『モンスターペアレント』という言葉が流行りました。常に私は正しい、悪いのは学校や自分以外の人だと主張する親が学校に乗り込みます。
M音全盛期の学校の教師はさぞかし大変だっただろうと思います。
親は『美』という音を、娘に美しくあって欲しいと使います。確かにある意味M音は女性を綺麗にする要素はあります。ただ、内面的な美ではなく外面的な美を追求する気持ちが強いため(絶対性のため外部に影響を及ぼす)、エステサロンや高級ブランドの業界にとっては良い顧客にはなります。
裕福な方々が外面の美にお金を使うのはあり得るとしても、何より怖いのは絶対を主張する性質です。それは夫婦間の問題です。夫婦はお互いに相手を尊重してこそ、その関係が長続きします。どちらかが絶対を主張するなら結末は離婚しかありません。
芸能界や外国で活躍したい方には味方になる音かも知れません。自分を主張する強さが必要です。
救いとしては、音には表と裏の性質があると説明しましたが、このM音を名前に持つ方が、ご自分の経験での学びや良識をしっかり身につけて、あまり人と関わらない仕事や生き方を選ぶ場合は、先ほどの主食の音に用いられたように全知全能の性質をフルに生かして目立たないけども無くてはならない落ち着いた女性になりますが、私の人生においては、2〜3人ほどしかみた事はありません。
それほどM音は使いこなすのが難しい音です。
付けられた本人が一番苦しいだろうと思います。
もし、子供に本来の『美』を求めるならば、他の音を使用してあげるべきです。
今回は1500年ほど前の日本語の危機はいまだに脈々と生きている事を書いてみました。