日本語の音の秘密(志矢木太陀介)

名付けに役立つ話と日本語の音の秘密を書いていきます。表題の太陽系の図はfreepikより。

時間をゆっくり動かす

時間をゆっくり動かす

時(とき)(TOKI)という言葉があります。

この『と』という音は時間を急ぐ性質があります。

特に『と』(TO)の(O)がその働きを強めます。

地理的な話をすると、日本の都(みやこ)は時間の経過とともに、おおむね西から東に移動しています。つまり地球の自転の方向です。

九州地方にあったと言われる都が、奈良、京都、東京と遷り、もうこれ以上時(とき)を急げないところまで来ました。人間の欲望そのものの動きを感じます。

そのエネルギーはすごいものがあります。

音的には京都(KIYOOTO)のYOとTO、東京(TOOKIYOO)のTOとYOです。東京はその前は江戸(EDO)と呼ばれてました。

Oの世界には、人や物やお金、いろんな情報や欲の世界が集まります。その世界を求める方々にはまさに花の都かもしれません。

逆に都会を離れ、九州や沖縄に移住する方々もいます。これは自転の方向と逆の動きになり、具体的に時をゆっくり生きる事を目指しているのだと思います。

そうだとしても現実的には誰しもが移住ができるものではありません。

では、生活の中でゆっくり時を動かすにはどうするか。

以前のブログで画家、熊谷守一の話をしましたが、まさに常識を超えた観察力がありました。

今は沖縄に在住で、九州の大きな病院の看護部長をされていた女性がおられます。彼女は西原の自宅で熊本地震震度7を2度体験しました。

私は地震の後に彼女と知り合ったのですが、本人曰く、とんでもない天変地異が起きる事がわかっていたそうです。それは、毎日庭の花に水をやるのですが、地面の水を吸い込むスピードが以上に速いことに気づいた。

それで、町の中を観察したところ、いつも水が溜まっているエリアに水が少なくなっている。地下で何かが起きていると考え、家に帰ると家具が自分の方に倒れて来ないように紐で縛って、飼っていた数匹の猫を全て自分の部屋に入れて待っていたところ数日もしないうちに熊本地震が起きたそうです。

彼女が激務に追われて庭の花に水をやるだけでしっかり観察しなかったら、おそらく家具の下敷きになっていたと言ってました。猫数匹と自分一人の暮らしだったけども、やっぱり自然は教えてくれるね〜。との事でした。

都会に暮らされる皆さんも、何かゆっくり観察できる物やちょっとした空間があると良いですね。

以前、武術の達人(本当にすごい方です)に言われたのが、お前たちは時間の余裕がなさすぎる、例えば携帯電話を右手でかけたら、電話を切る時には左手に持ち替えて切りなさい。そのちょっとした間(ま)が時間をゆっくり使う事だぞ。良い技ほど、大きく、ゆっくり稽古しなさいと教わりました。

 

以前、海(うみ)を(わた)と呼んでいた話をしましたが、『ゴジラ-1.0』の作戦は「わだつみ」作戦でした。良い音でした。

『時』(とき)も古語辞典を調べたら「しだ」と呼んでいた時代があったようです。この「しだ」という音こそ、時間をゆっくり生きる音になります。

昔の日本人の音の感性はすごいです。

 

本日もお読みいただきありがとうございました。

九州は突然、冬本来の寒さとなりました。

心臓にも負担が来る季節です。気をつけたいですね。